臨床例のご紹介

虫歯治療と歯内療法

虫歯治療と歯内療法

2017年03月09日
東京医科歯科大学歯学部付属病院でも, 行われていない保険方式ではない, う蝕検知液;Caries Detectorを使った世界水準を遥かに凌いだ正式な虫歯治療を1980年4月のCaries Detector:う蝕検知液の発売以来,  丸39年間以上に渡り, 実施しています.

それまでは, 虫歯で変色している象牙質を取り除いていましたが, 経過が良くない症例がありました. しかし, その原因はう蝕検知液: Caries Detectorで染まる, 変色していない虫歯感染象牙質が残っていたためであることが明らかになりました. 

虫歯は麻酔が良く効いた無痛状態で, 虫歯検知液: Caries Detectorで染め出しながら, 何回も何回も, 丁寧に虫歯を確実に削り除いています. 

保険診療では, 1本の虫歯に2分半しか掛けられないため, 普通には『軟化した象牙質虫歯だけを取り除いて, 硬い虫歯を残したまま詰めるか, 被せるかしています. ] この残された虫歯が進むと, 5年2ヶ月か, 5年4ヶ月後には, 再治療する必要のある二次カリエスになります(下の読売新聞の記事を参照して下さい).

正式な正則治療では, 平均25分間かけて虫歯感染象牙質を確実に染め出して取り除いています.  保険診療の方法は, 応急処置です. 下の記事は読売新聞の2005年8月16日の22頁です.


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2004年に発売されたCaries Checkという3秒間で染まる染色液がありますが, 虫歯が残るため, 直接覆髄法を実施すると, 必ず痛くなって失敗しましたから, Caries Checkはダメで, 染めるのに10秒間かかるCaries Detectorである必要があります.

虫歯を徹底的に奇麗にしようとすると, 時間がかかり, 時には歯髄が露出します. 普通には歯髄が露出しないように, 深い虫歯は虫歯感染部分を残したままに治療を終わるか. または, 3 Mixという薬剤を虫歯が残る深部に塗布してセメントで封鎖して, 3ヶ月以上時間を待った後で、修復象牙質が歯髄側にできるのを待って, 虫歯の部分を再度削ってきれいにするか, あるいは, 歯髄を取り除いて, 歯内療法を実施して, 歯を殺して被せる治療をしています.

歯髄が死んだ歯根は, 破折して抜歯される原因の68%を占めていると歯科の月刊雑誌『歯界展望」に報道されている通り, 経過は良くありませんから, 歯髄を取り除くのはできる限り避けたい治療法です.

しかし, 私は1966年9月に, 歯髄が露出しても, そのまま直ちに, 無痛で歯髄を生きた状態に保存できる方法を発見して, 52年が経ちました. この技術は世界に発表していない屈指の技術です.

歯髄保存療法は直接覆髄法と生活歯髄切断法との, どちらかです.
これは、ノーベル賞にも匹敵する発見なのです。実施例を見て下さい。

次の症例は, 歯髄が露出した後, 直接覆髄法で歯髄を健全に保存しました. 術後31.5年です.

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次の症例は#46=下顎右側第一大臼歯は直接覆髄法, #47=下顎右側第二大臼歯は生活歯髄切断法を実施した症例です.  ★生切=生活歯髄切断法

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歯髄を取り除いた後に行う歯内療法は時間と人手と設備がかかり, しかも, 成功率が歯根の形により,60%〜90%の不確実な手探り処置です. 歯髄を取り除かれて死んだ歯は, その内に歯根が破折して抜歯に直結しています.

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歯根破折が予後経過不良の60%を占め, 歯冠破折が8%を占め, 腫脹が0.5%を占めていますから, 歯髄除去して, 歯を殺すことが, 抜歯原因の68.5%を占めています.

小笠原歯科では, 歯髄が露出しても, 痛くなく, 歯髄が生きたままに治せますから, 多くの時間と人手が節約され, 多くの場合, 被せなくても, 詰めるだけで終わりますから, 安くて, しかも, 迅速で安全な治療ができています. 普通の歯髄を取り除いている歯学部の20倍速で診療は進んでいます.

この方法は, 現在まで, 息子と娘にしか公開していません. 父子相伝です. この1年間は榊原茂弘先生に公開しています.



麻酔が怖い、麻酔が痛い、という方には、表面麻酔法があります. 乾燥した歯肉表面に麻酔液を数滴垂らして, 30秒間待つと, 表面の1mm程度が麻酔され、そこに麻酔注射を丁寧にします.
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その他に決定的な無痛方法があります.

1) 「針無し麻酔器=Syrijet (315,000円)」があります。これは針を刺す代わりに、30個くらいの微小な孔から高圧で瞬間的に10mm程度の深さが麻酔されるように歯肉に麻酔液を射出する器具です。
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さらに,  麻酔をまったく必要としない瞬間無痛切削機があります. 

2) Micro-Prep(420万円=1991年)という30μmの酸化アルミニウム=アルミナ球体を射出する装置を使い、無麻酔で無痛で歯髄切断や虫歯の切削ができています。
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3) 歯の神経を殺しませんから, 20本程度の生活歯を同時に麻酔して, 無痛処置する必要がある印象採得=歯型取りや,  歯冠製作物の合着=Setの際には, N2O=亜酸化窒素ガスを窒素ガス:N2の代わりに使い、酸素:02の70%と混合したガスを吸入すると, 15分後に痛みの感覚だけが無くなります。  空気の酸素濃度は20.7%です。酸素100%から60%まで自由に変更して、笑気の濃度を変更できます。
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この笑気吸入鎮静法は、床配管から酸素と一緒に吸入しますが, 1974年以来45年目を迎えています。その間には1例も不快症状はありませんでした。小児も妊婦も安全です。
笑気吸入鎮静法は, 軽い全身麻酔法ですから, 痛み感覚だけがなくなり, 意識は正常なままですから, 電話に応答したり, 途中でトイレに行くことも、何も不都合はありません.

普通の全身麻酔のように深い麻酔になりますと, 口を開けておられなくなりますから, 歯科治療はできなくなります.


以上。無痛治療には、注射麻酔以外の3つの方法を適宜活用しています。
これらの方法は、国内でも、極めて少ない施設です。勿論、歯科大学などの保険診療で行なっている所では無理です。

また, 心電計などで, 常に循環動態をMonitorしながら, 外科処置を実姉しています.

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万一の心房細動に備えて, 「AED」という除細動装置を設置しています.

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次の症例は, 下顎右側第一小臼歯が歯髄が露出して, 「歯髄息肉」と呼ばれる状態です.  生活歯髄切断法と, TMS Link Pinを使った補強で, 直ぐに仮の歯が入って使える形が回復しました. 

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上の1年3ヶ月経過した写真です.  上顎前歯部は, 生活歯のままです.

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次は上顎前歯部を歯冠切断し, 生活歯髄切断法を行い, Over Dentureの維持に利用した症例です.

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次は, 日本中の保険診療所で, 普通に行われている虫歯のまま, 詰めたり, 被せたりされている『手抜き治療」を正式な「正則治療法」でやりなおしたものです.




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この#24,25,27=上顎左側第一・第二小臼歯と第二大臼歯は, 歯髄が露出して, 直接覆髄法を実施しています. 多数の歯髄が生きている歯を同時に無痛治療する際には, 注射麻酔法では無理ですから, 軽い全身麻酔法である笑気吸入鎮静法を1974年の福井開業以来採用しています.