歯科正則治療の勧め

患者とお客

患者とお客、医療と客商売

2017年02月16日

 小笠原歯科診療所 小笠原久明     2017-8-17

 

Wikipediaによると,Monster Patient: 怪物患者とは、医療従事者や医療機関に対して、

  自己中心的で理不尽な要求・暴言、果ては暴力を繰り返す患者やその家族等を意味する

  和製英語である.

教育現場で教師に理不尽な要求を突きつける親を怪物に喩えて「モンスター・ペアレン

  ト」と呼ぶのと同様、医療現場でモラルに欠けた行動をとる患者をこのように呼ぶよう

  になっている。

 

★ 自己中心的でわがままな患者 ★

  事例1. 予約なしに突然やって来ては「早くしてくれ」と言ったり,また, 「無断キャ

   ンセルしたり」と、商店に来るような感覚でいる.

  事例2. 「初診時や電話での問い合わせの時に、これは「おかしい」と思われる患者は丁寧にお断りをして、なるべく診ないようにしている.

=「おかしい」とは、正常なコミュニケーションが取れない場合や、思い込みが強く

    こちらの言うことが聞けそうもない場合等をさす。

 

  事例3. 「本人が希望する処置には人一倍要求が強いのに、必要な治療の話をすると、

    く耳を持たない」

 

患者様と、患者に敬語を使う風潮は、まさに歯科の患者さんは、お金を出して口の中に入れる異物を買ってくれるお客様なのだろう。歯科の患者さんの客意識が強い理由は、歯科医自身が患者さんをお客様扱いしているからだろうし,やっていることが,「医療」ではないから、その実態をなんとなく患者さんに見透かされているに違いない。

 

患者さんの客意識が根底にあると言ってもいいだろう。

「客」というものは、我がままを言うものであり、そして「客」はわがままを言っていいものだと思っている。

 一般的に客商売をしている人に限って、自分が客になった時には客意識が強い傾向があるとのことだ。つまり、客のわがままを受け入れる立場の人が、その抑圧された感情を抱えたまま、立場が変わって自分が客になると居丈高になるものらしい。

 

では、どうして「患者」が「客」だといけないのだろうか。結論から言えば,「医療」は、普通の客商売の感覚では成り立たないからだ。

 

★想像していただきたい。

医療現場で「いま手持ちのお金がこれだけしかないから、その分だけ治療して欲しい」

とか、「はい、ここまでが費用分です。引き続き治療を希望する場合は追加分が必要になります」という訳にはいかない。医療現場では、治療中に何が起きるのか予測できないこともあろう。

 

つまり、「医療」は、もらったお金の範囲でやるような請け負い仕事ではないのである。

また、患者さんの気に入ることだけをしてやったり、儲かることだけやっていては、「医療」は成り立たないことも理解できるだろう。

「医療」は、「先生」と呼ばれる専門職の判断によって、そのときに最善を尽くすことが 

求められている職業なのである。

 

そうなると、歯科ではよく見られる事前に診療見積もりを出すことも、「医療」では考えられないことだが,世間ではそれが当たり前になっているのは、「歯科」を客商売の一種と思っている人が大半だからなのだろう。

 

★世間一般では,手先の仕事(歯科医)より、頭を使う仕事(医師)の方が評価は高い。

歯科において本当の医療をやっていこうと思ったら、既存の誤った考えを持っている患者さんに、まず、治療と口の中に物を入れることとはまったく別のことだということを教え、さらに病気の治療をしたければ医療サイドの指示に従わなければならないことを十分に納得させなければならない。

 

「客意識の強い患者さんに対しては、このように説明するといいでしょう。「あなたが金を払う客で、私が金をもらう接客業者というなら、そういう関係でやりましょうか。

わたしがぺこぺこしながら揉み手をする代わりに、儲からないことは絶対にやらないし、あなたの口の中を金儲けの目的だけでいじりますけれども、それでもいいですか」と言って、「やってもいい」という患者は、経験上1人もいません。

 

患者さんを、「お客様は神様です」というような感覚で接していると、医療はできなけれども、商売はできるんですね。医療と教育だけは、お金を払う方が頭を下げるのが当然なんです。

だから、患者さんが私に対して生意気な口の利き方をしたら、即、「あなたは患者でしょう。まさか自分のことを客だと思っていないですか。

 

こちらは、あなたを客だとは思っていません。客扱いをされたかったら他の好きなところに行きなさい」とはっきり言えばいいんです。

 

以上、あなたはお客様、患者さんのどちらですか.歯医者さんと歯科医師のどちらをお望みですか.